学際的考察と実践のすすめ

新しい講座を開講した。少人数で限られたメンバーのチャーターレッスンではあるが、私自身の得意領域を丁寧に伝えるゼミにしていこうと思う。生活美学椿俱楽部と名付けた。椿ゼミと呼ぼうか。

専門はなんですか?と聞かれることには慣れてしまったが

荒井センセーってお花も活けられるんですね、とか

お料理もつくれるんですね、と言われることが多くなったことも今回のエネルギーにつながった。

大学の専門は農学部+理学部+家政学部だから、文系も理系も網羅した。そもそも文系と理系を分けることはナンセンスである。が、それについて書けば大興奮しそうなので別の機会に譲ろう。

とにかく私は動物も植物も花も料理も専門領域で、ついでに言えば、服飾では博士号を取得しているので、ファッションについて語る場をいただければ水を得た魚になる。

要するに人間とその環境を学際的に俯瞰視し、暮らしに自然とその法則を生かすことが私のやり方だと改めて気がついたのだ。

その気づきから、しばらく離れていた花・草・木を軸にした植物学の視野に立ち返り、その文化論を深め、季節のもてなしに生かそうという講座を開講したくなった次第である。

 

牡蠣の生産者である畠山重篤氏の仕事も私を大きく刺激した。

畠山さんは、牡蠣の生産のためには、いや、海を豊かにするためにはまずは森を育てるという、かの有名なストーリーの研究かつ実践者として著名である。

つい先日も、NHKで「カキと森と長靴と」というドキュメントを2度観て2度泣いた。泣くような場面はないのだが、私は泣いた。

森を守らなければ海はダメなのだが、人間は哀しいかな目の前しか見ない。認知症や記憶力回復にハチミツがよいと言えば、糖分の摂取過多を疑うことなくハチミツを摂る。目の前の情報にすぐに飛びつくのは、われわれが日々不安の中で暮らしている証拠だと言えよう。

モノを観る、ちゃんと観る。それが基本だと思う。多方面から観る。多方面から考える。それを手伝う仕事がしたい。

なーんてことをものすごく真面目に考えて、新しい講座を開講した。

私にできることがあればやっていきたい。気軽にお問い合わせいただきたい。

と書いたら、某紙からのひな祭りに関しての電話取材。

伝統的な料理について・・

あ、桜餅ってね、新しいお菓子ですからひな祭りと関係ないですよ!

あ、ちらし寿司もね、そもそも卵焼き、ムカシはなかったし・・

蛤とれる地域は限られてるからスタンダードではないですね!

等、記者さんと盛り上がる。

 

「センセー、おもしろいけど記事に書けないことばかり!」とのこと。

現実問題、私が役にたつことは驚くほど少ないらしい。