テーブルコーディネートの誕生とその機能

北海道文教大学 研究紀要 第30号 -2006年3月-

中矢雅明・清水千晶・荒井三津子

Ⅰ.緒言  1996(平成8)年,食に関する総合的な専門家育成のためにフードスペシャリスト協会が設立された。フードスペシャリストの資格取得には栄養士を養成する大学か短期大学でフードコーディネート論の受講が必須とされ,建帛社の「新版フードコーディネート論」が教科書に指定されている。そこでとりあげる和洋の料理や食器のセッティング,食器の種類や食事のマナー,食空間のイメージ作り等は,すでに一般化している「テーブルコーディネート」の内容のものだが,「新版フードコーディネート論」では「テーブルコーディネート」という独立した項目を設けている。これはテーブルコーディネートの概念と領域の不明確さを示すものである。
 1998(平成10)年には日本フードコーディネーター協会が設立され,フードコーディネーターの養成課程でもテーブルコーディネートの知識が求められるようになったが,その内容と領域も明確ではない。
 テーブルコーディネートは,1980年代のはじめから都市生活を営む女性たちの注目を集めるようになり,指導する教室は大都市を中心に次々に登場し,現在も盛況である。時代の流れを受けて,1990(平成2)年には通商産業省(現在経済産業省)が「ゆとりと豊かさ」を食空間で実現することを目指し,TALK(食空間と生活文化ラウンドテーブル)を設立した。TALKは毎年テーブルウエアフェスティバルを開催し,「やさしい食空間コンテスト」の公募を行なっている。テーブルコーディネート部門には毎年多くの応募がある。同フェスティバルは近年,東京ドームで9日間開催され,会期中約30万人もの来場を得ている。この人気を背景にTALKは2003(平成15)年,テーブルコーディネーターという新しい資格制度を設けた。フードスペシャリスト,フードコーディネーター,テーブルコーディネーターと,次々に食卓まわりの仕事が誕生したが,その違いもまた明確ではない。

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テーブルコーディネートの誕生とその機能01.PDF
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