時の流れ

1985年に花と料理を同時に教える教室を設立したころ、

時代はなんだか優雅だった。

 

当然、食卓の演出を指導する時、テーブルクロスの選びかたや使い方は必須の内容だった。

 

同じクラスで二度同じクロスは使わない・・・などと、

なぜそんなことを思ったのか不思議だが、

それが可能な時代だった。

 

現在もテーブルコーディネートに関するテキストや関連書籍には

テーブルクロスの選びかたは必ず載っている。

拙著「食学入門ー食べるヒト・食べるモノ・食べるコトー」にもそれなりにページを割いた。

 

どんな布が格が上で、どれがカジュアルか、どう重ねるか、どう遊ぶか、

それはもちろん有用な知識である。

大学の講義でもしっかり学生に伝えている。

 

レストラン等の運営には必須の知識である。

だが

 

一般家庭で、テーブルクロスは必ずしも必要だろうか。

 

食卓で大切なことはを二つあげるとすれば、

衛生的であることと安心して食べられること。

 

カラッと拭いたテーブルでありたい。

そして多少汚れても安心して食べたい。

 

毎回取り替えることができればよいが、

普通は難しい。

 

部屋の印象を変えたり、

食卓の演出に布の色や柄は大きな役割を果たすことは間違いないが、

 

実用的な食卓にはどうだろうか。

 

自宅で開催しているライフデザインスクール暮らしに+1 にて

今月私が担当した「荒井三津子の食卓美学」では布について話すに当たって

押入れ1間に溢れる布をながめて苦笑せざるを得なかった。

 

理想と現実は距離があって当然である。

 

理想を掲げることも

目標をもつことも

知識を増やすことも大切だが、

 

日々繰り返される食卓では、衛生的で、安心で、経済的で、合理的な

提案こそ、まずは必要だったのではないかと、

30年以上たってしみじみ思う。

 

雑誌に登場するような素敵な食卓を・・と語り指導してきたが

 

さて

ちょっと立ち止まってみましょうかしら。

 

普通の暮らし、

 

それをどうちょっぴり楽しく、ちょっぴりワクワクさせられるか、

 

もちろん衛生的で、経済的で、安心できて、合理的で・・

 

またまた宿題を見つけた気分。

 

こう見えて真面目な私、布を片付けながらちょっと考えてみようと思います。

新しいご提案ができるようにがんばります。

 

 

偉いなあ・・・・