ハレとケ
とは非日常と日常のことをいうが、
昨今はこのハレとケの区別が不明瞭になっている。
日常にハレが入り込み、非日常が普段化してきた。
これは衣食住全般に言えることだ。
七五三の子供は晴れ着なのに親が普段着という光景は珍しくない。
子供の写真さえ撮れればよいというのか。
住まいにおけるハレの空間も
冠婚葬祭の簡略化とともに輪郭がなくなってしまった。
さてその不明瞭さが最もはっきりしているのが食の場面である。
さてご飯。
ご飯は飯にご、「御」がつく。
ご飯はハレの主食だった。
しっかりと箸で口に運べる粘りのある白い飯。
それがハレの飯であり、ご飯だったという。
だったらケの主食はなにか。
雑穀や野菜、根菜類などを混ぜ込んだ「かて飯」のことである。
混ざり物が多く、箸では食べずらかったはずだ。
だからどうした?と聞かれても困る。
ただ
だから
こ飯を食べるときにはたくさんのルールがあるのだと思う。
箸に嫌いばしとも忌箸ともいわれるいくつものタブーもあるのだろう。
犬喰いも
かきこんで食べるのも嫌われるのだろう。
実りの秋。
不安定な季節のあと、収穫が心配だ。
農学部時代の友人がこのたびの地震の震源地近くで米をつくっている。
私も農業高校で教育実習をしたのも今頃だった。
農学部開学以来の劣等生と言われ、
教育実習先でも、問題児ならぬ問題実習生の誉を欲しいままにした私だが、
稲刈りの感動は今でも蘇る。
米は大切に食べたい。
植物とては稲。
粒にしたら米。
炊いたらご飯。
こんな植物はほかにはない。